「融資の相談に行くなら、事業計画書が要るらしい。でも何を書けばいいのか分からない」。
開業を考え始めた方が、最初につまずくところのひとつです。
先に結論をお伝えします。
- いちばん使いやすい型は、日本政策金融公庫の「創業計画書」です。書式と、美容業の記入例が公庫のサイトで公開されています
- ネイルサロンでとくに大切なのは、売上の見通しに根拠があるかです。「1日の人数×1人の単価×営業日数」を、なぜその人数なのかまで書きます
- 書いてみて数字が合わなければ、それは失敗ではなく、開ける前に分かってよかったことです
私たちsalon UNELMAは、福岡でネイルサロン5店舗とアイサロン1店舗を運営し、創業融資を利用して店を開けてきました。その経験から、ネイルサロンならではの書き方を整理します。
お金の集め方(自己資金・創業融資・補助金)は、こちらにまとめています。
公庫の「創業計画書」は、10の項目でできています
公庫の書式の冒頭には、「この書類は、ご面談にかかる時間を短縮するために利用させていただきます」と書かれています。
面談で聞かれることを、先に紙にまとめておくもの、と考えると分かりやすいです。
| # | 項目(公庫の書式より) | ネイルサロンで書くこと |
|---|---|---|
| 1 | 創業の動機 | なぜネイルサロンなのか、なぜ今なのか、なぜその場所なのか |
| 2 | 経営者の略歴等 | 勤めたサロン・担当した業務・身につけた技術・取った検定 |
| 3 | 取扱商品・サービス | メニューと値段、1人の単価、営業日数、営業時間、選ばれる理由 |
| 4 | 従業員 | 1人で開けるか、人を雇うか |
| 5 | 取引先・取引関係等 | 材料の仕入れ先、予約の受け方(掲載媒体など) |
| 6 | 関連企業 | 経営している会社があれば |
| 7 | お借入の状況 | いま返している借入(住宅・車・カードなど) |
| 8 | 必要な資金と調達方法 | 何にいくら使うか(見積もり)と、そのお金をどう集めるか |
| 9 | 事業の見通し(月平均) | 開業当初と、軌道に乗ったあとの売上と経費 |
| 10 | 自由記述欄 | アピールしたいこと、悩み、ほしいアドバイス |
公庫の略歴の欄には、「勤務先名だけではなく、担当業務や役職、身につけた技能等についても記載してください」とあります。
ネイリストの場合、ここは「どこのサロンに何年」だけでなく、どのメニューを担当し、指名のお客様がどれくらいいたかまで書けると伝わります。
ネイルサロンで、特に丁寧に書きたい3つ
1|「3 取扱商品・サービス」── 選ばれる理由を1行で言えるか
メニュー表を写すだけでは足りません。
近くにネイルサロンがいくつもある中で、なぜお客様があなたのお店を選ぶのかを書きます。
- 誰に来てほしいか(年代・働き方・住んでいる場所)
- その人が、いまのサロンに何を不満に思っているか
- それに対して、あなたのお店は何をするのか
ここが1行で言えないと、次の売上の見通しにも根拠が作れません。
2|「9 事業の見通し」── 人数に「なぜ」を付ける
ネイルサロンの売上は、次の掛け算で考えられます。
1か月の売上 = 1人の単価 × 1日の人数 × 1か月の営業日数
たとえば(数字はすべて例です)、単価7,000円・1日4人・月22日なら、7,000×4×22=616,000円です。
大切なのは、「1日4人」の根拠です。
- 前のサロンから来てくださりそうなお客様は何人か
- 掲載媒体やInstagramから、月に何人の新しいお客様を見込むか
- そのうち何割が、次も来てくださるか
開業当初は、軌道に乗ったあとより少なく見積もって書きます。
開けてすぐに予約が埋まるとは限りません。
3|「8 必要な資金と調達方法」── 見積もりと、手元に残すお金
使うお金は、内装・設備(施術台・ライト・椅子など)・材料の最初の仕入れ・物件の契約のお金のように分けて、できるだけ見積もりを取って書きます。
そして忘れがちなのが、開業してから売上が立つまでの運転資金です。
家賃・材料・広告費に加えて、ご自身の生活費も、数か月分を見込んでおくと安心です。
いくらかかるかの目安は、こちらの記事にまとめています。
自己資金について、公庫は「重要な要素のひとつだが、それ以上に創業計画全体が重要」としています。公庫の調査では、創業資金の総額に占める自己資金の割合は平均で2割程度です。
書いてみて、数字が合わなかったら
売上の見通しから経費と返済を引いて、ご自身の生活費が残らない。
計画書を書くと、こういうことがはっきり分かります。
そのときに見直すのは、だいたい次の3つです。
| 見直すところ | たとえば |
|---|---|
| 場所とやり方 | テナントではなく、自宅やシェアサロンから始める |
| お金のかけ方 | 内装や設備を、最初は必要なものだけにする |
| 始める時期 | お客様や貯金がもう少し増えてから開ける |
自宅と店舗、どちらから始めるかは、こちらで比べています。
「いまは開けないほうがいい」と分かるのも、計画書を書く大きな意味です。
開ける前に確かめておけば、避けられるつまずきがあります。
まとめ
- 事業計画書は、日本政策金融公庫の「創業計画書」の10項目に沿って書くと抜けがありません
- ネイルサロンで特に丁寧に書くのは「選ばれる理由」「人数の根拠」「生活費まで含めた資金」の3つ
- 売上は「1人の単価×1日の人数×営業日数」。開業当初は少なめに
- 数字が合わなければ、場所・お金のかけ方・時期を見直す
開業までの手続き全体は、こちらにまとめています。
計画書を、一緒に見てほしいときは
salon UNELMAの開業支援では、事業計画書の数字の置き方からご相談いただけます。